弁護士 秋山亘のコラム

2018.10.09更新

品確法に基づく瑕疵担保責任 

 

<質問>

ある不動産業者から新築の建売住宅を購入しました。購入して4年が経過しましたが、屋根裏から雨漏りがし出して、補修をしなければならなくなりました。そこで、補修費用を売主の不動産業者に請求したのですが、売買契約書では、瑕疵担保責任の期間を2年間に限定しているとして取り合ってもらえません。何とかならないでしょうか。

 

<回答>

1 民法の一般原則になりますと、契約書に特に記載のない場合には瑕疵担保責任の期間は、買主が瑕疵の存在を知らなかった時は瑕疵を知った時から1年以内、買主が知っていたときは契約の時から1年以内に行使しなければなりません(民法564条)。 

また、売主が瑕疵の存在を知っていながら告げなかった場合を除いて、売買契約書等において売主の瑕疵担保責任の期間を例えば2年間などに限定する或いは免除することも可能です(民法572条)。

 しかし、通常、建物における瑕疵の存在が明らかになるのは、契約して実際に住んでみた時から数年経ってからです。例えば、建物の引き渡し時から4年が経過して雨漏りが発生したという場合でも、建物は通常20年以上の長期に渡り、住居として使用可能な耐久性を持つことを前提に建てられるものですので、4年で雨漏りがしたということ自体からして、建物の建築時から何らかの瑕疵があったものと考えられます。そのため、契約書において瑕疵担保責任の期間を2年間と限定すること自体が不当と言えます。

2 そこで、平成12年4月1に施行された「住宅の品質確保の促進等に関する法律」(品確法)では、新築住宅における以下の部位の瑕疵担保責任の期間を引き渡し時から10年間と法定しました(品確法94、95条)。

①構造耐力上主要な部分(柱、梁、耐力壁、基礎、地盤、土台等の構造躯体)

②雨水の浸入を防止する部分(外壁や屋根の仕上、下地、開口部等) 

これにより、たとえ売買契約書(新築建売住宅の場合)や請負契約書(新築住宅の発注の場合)において、瑕疵担保責任の期間を契約時から2年間と定めても無効であり、最低10年間は瑕疵担保責任を負うことになります。

なお、上記の「新築住宅」とは、新たに建設された住宅で、まだ人の居住の用に供したことのないもので、かつ、新築されてから1年以内のものをいいます。

したがって、一旦人が住んだことのある中古住宅、また、不動産業者からの新築建売住宅の購入の場合でも建物の完成時から1年以上の間売れ残っていた物件は、品確法による保護を受けられないため注意が必要です。

3 本件は、品確法による保護が受けられる筈ですので、品確法95条に基づき、瑕疵担保責任として建物の補修費用の請求が出来ると思われます。

投稿者: 弁護士 秋山亘

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