弁護士 秋山亘のコラム

2018.10.01更新

普通借家から定期借家への切り替えの可否

 

<質問> 

 私は、賃貸用マンションのオーナーをしておりますが、この度、将来の立ち退き請求がスムーズに進むように、現在借家人と結んでいる普通借家契約を「定期借家契約」に切り替えることを検討しております。このような事は可能なのでしょうか。

 

<回答>

 (1) 平成12年3月1日以前に締結された居住用建物の普通借家を定期借家へ切り替えることは現在のところ不可

 居住用の建物について、平成12年3月1日以前から賃貸借契約を締結している場合、「当分の間」は定期借家契約に切り替えることはできません(改正法附則3条)。

 この「当分の間」の解除時期については、附則では明記されておりませんが、居住用建物の定期借家への切り替えの可否については改正法施行後4年の平成18年を目処に見直すことにされておりました。しかし、現在のところ見直しはされておりません。

 この点に関しては、全国宅地建物取引業協議会は、定期借家法の見直しの年として予定されていた平成18年6月に居住用建物の定期借家への切り替えの解除に向けた要望書を国に提出しておりますが未だ実現に至っておりません。

 したがって、現在のところ、平成12年3月1日以前に締結された居住用建物の普通借家を定期借家へ切り替えることは出来ません。

 なお、平成12年3月1日以降に締結された普通借家を定期借家に切り替えることは可能です。

(2) 居住用を除く事業用建物の定期借家に関しては普通借家から定期借家への 切り替えは可能

 居住用以外の建物(事業用)に関しては、従来の借家契約を一旦合意解除して、新たに定期借家契約を締結することは可能です。

なお、この再度の契約もやはり定期借家契約ですので、新規の定期借家契約を締結する際の手続きと同じ手続きが必要となります。具体的には、公正証書等の書面による契約の締結と更新がなく期間満了により契約が終了する旨の口頭及び書面による説明が必要となります。

投稿者: 弁護士 秋山亘

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