弁護士 秋山亘のコラム

2018.09.18更新

法定地上権の法律問題 

 

<質問>

(1) 当社は、ある競売物件で土地の購入を検討しております。しかし、この土地上には建物が立てられており、建物には抵当権がついていなかったため、土地のみが競売に出されています。

 このような場合、建物には法定地上権が成立してしまうのでしょうか。 

(2) 当社は、X社に対しお金を貸しましたが、その際、X社が所有する更地Aに抵当権を設定しました。その後、X社はA土地に建物を建ててしまいました。

 このような場合、法定地上権は成立するのでしょうか。法定地上権が成立しないとしても、土地だけの競売であると他人所有の建物が建っているというだけで、競売価格が下がってしまうのではないかと心配です。どうにかならないでしょうか。

<回答>

1 (1)について

法定地上権とは、競売の結果、建物所有者と土地の所有者が異なってしまった場合に、一定の要件のもとで建物所有者に地上権(土地の使用権)の設定を民法が認めることで、建物の存続を保護し、建物の撤去・取り壊しによる社会的損失を避けるという制度です。

民法388条では、法定地上権が成立するための要件として、①抵当権設定当時、土地の上に建物が存在していたこと、②抵当権設定当時、同一人がその土地及び建物を所有していたこと、③土地と建物の一方又は双方に抵当権が設定されて競売の結果別々の所有者に所有されるようになったこと、という3つの要件を設けております。

 したがって、本件では抵当権の設定登記が行われた時に、当該土地上に建物が存在したか否かによって、当該土地に法定地上権が成立するか否かが決まります。

 抵当権設定当時にはいまだ建物が存在しなかったという場合には法定地上権は成立しませんので、土地の競売の結果、建物所有者は無権限で他人(競落者)の土地の上に建物を建てていることになりますので、競落人は、建物所有者に対し、建物の収去・明け渡しを求めることになります。

したがって、競落人としては、建物の収去・明け渡しの裁判費用や建物の取り壊し・撤去費用は自己負担になる可能性が高いことを覚悟した上で競売に参加する必要があります(建物の取り壊し・撤去費用については、建物所有者に請求することが出来ますが、競売にかけられている債務者なので支払能力がないことが殆どかと思われます)。

2 (2)について

 このようなケースでは、前記1で述べたとおり法定地上権は成立しません。

 しかし、前記1でご説明しましたように、土地だけを競売で競落した人は、建物の収去・明け渡しを求めて、建物所有者に対し裁判をしなければならなくなり、また、建物の取り壊し費用等もかかることから、競売の落札価格は安くなる傾向にあります。

 このような場合に備えて、民法389条は、法定地上権が成立しない建物と土地を一括して競売に付すことを認めております。

 この一括競売の結果、土地と建物が落札されると落札代金のうち、土地の代金部分だけが抵当権の実行として抵当権者の債務に優先的に充当されます。

これに対し、建物の代金については、他に残債務が残っていれば通常の配当手続きの中で配当要求をすることにより、一般債権者と同等の立場で配当されます。配当要求をする債権者がいなければ建物の所有者に還付されます。

投稿者: 弁護士 秋山亘

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