弁護士 秋山亘のコラム

2017.02.13更新

借地契約の更新料


 AさんはBさんから、昭和五〇年四月に二〇年間の契約で一五〇坪ほどの土地を借りてきましたが、期間満了の一か月前に、Bさんは更新料として六〇〇万円支払って欲しいと行ってきました。Aさんは二〇年前にも同じように更新料を要求され、そのときは金額が大したことはなかったので支払いましたが、今回は金額が多額であり、Bさんの要求にそのまま応じることはできないと思いました。AさんはBさんと話し合いをしましたが、Bさんは「更新料を支払って貰えないのなら、法定更新にせざるを得ません」と言い出しました。Aさんは更新料を支払わないと自分が不利になるのではと不安になり弁護士に相談しに行きました。
 弁護士の話では
①更新料は法律上必ず支払わなければならないものではない
②更新料を支払う義務がないのでこれを支払わなかったからと言って契約が解除されることはない
③「法定更新」とは、借地期間は堅固な建物で三〇年で、それ以外の建物で二〇年となる。この期間内に建物が朽廃すればその時点で契約が終了する。「合意更新」の場合は、右期間より長い借地期間を定めることができ、その期間内に建物が朽廃しても借地権は消滅せず、期間満了まで借地権は存続する
④借地期間が満了しても特別のことがない限り土地の使用権はそのまま認められ、借地人が永遠に土地を使い続けることができるに等しい
とのことでした。
 Aさんは安心しましたが、Bさんとまずい関係になるのも嫌でしたので、自分で妥当と思う金額を更新料として支払うと申し出ましたが、結局折り合いがつかず支払いませんでした。
 以上は借主の立場からの対処ですが、では地主の側に立ち更新料を取得できるようにするにはどの様にしたらよいのでしょうか。とりあえず借地契約に更新料の条項を入れておくことでしょう。注意すべきは、法律上はこのような条項も借地人に不利な条項として、認められない可能性が高いということです。しかし、更新料を契約の条項に入れておきますと、借地人も地主から要求されればスムーズに支払う可能性が高いと思われます。なお、平成八年四月一日以降に設定された借地契約には改正された「借地借家法」が適用されますが、基本的な考え方は従前の「借地法」と同じです。
   

投稿者: 弁護士 秋山亘

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