弁護士 秋山亘のコラム

2017.01.25更新

マンション管理費の時効問題

 

<質問>

  私は、ある中古マンションを裁判所の競売手続きで落札しました。そうしたところ、私も競売の物件明細書をよく確認しなかったのがいけないのですが、このマンションの前所有者は10年分も管理費等を滞納しており、マンションの管理組合からは、10年分の管理費・修繕積立金とその遅延損害金を請求されました。予想外の大きな金額なので戸惑っています。何とかならないでしょうか。

 

(回答)

1 中古マンションを競売により落札する場合も、任意売却により購入する場合も、購入者は、区分所有法第8条の「特定承継人」として、前所有者が滞納していた滞納管理費の支払い義務を負います。

このマンションの滞納管理費は、購入者が滞納管理費に関する物件明細書の記載を知っていたか否かに関わらず(もっと言えば、たとえ物件明細書に管理費等の記載がなくても)支払い義務がありますので、競売物件を購入する際には十分に注意する必要があります。

2 もっとも、マンションの管理費に関する時効期間は、かつては5年説と10年説に分かれておりましたが、現在は5年とするのが確定した判例(最高裁判決平成16年4月23日)です。

 したがって、本件についても、5年を超える管理費については、①管理組合が前所有者から管理費に関する債務承認の書面を取っている、或いは、②前所有者に対し訴訟を提起し勝訴判決を得ているなどの「時効中断」の事由がなければ、時効消滅の主張が可能です。

3 次に、遅延損害金についてですが、遅延損害金の支払い義務についても法的には管理費等の元本と共に購入者に承継されます。

ただし、購入者が任意に支払うことを条件として、遅延損害金の全額免除、一部免除若しくは6%等の低率の遅延損害金への引き直しを求め、管理組合と交渉をするということは実務上よく行われております。

 管理組合としても、訴訟費用をかけてまで遅延損害金を回収するよりは、低金利の経済情勢を背景にして、遅延損害金の支払いについては減免に応ずるケースが多くありますので、遅延損害金の減免については管理組合と協議してみる余地は十分にあると思われます。

投稿者: 弁護士 秋山亘

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