弁護士 秋山亘のコラム

2016.11.14更新

バブル崩壊後も高すぎる賃料を減額してもらう方法はありますか

 

(質問)

私は、平成5年に、現在の店舗を月額33万円で借りるという賃貸借契約を結びました。

しかし、その後この辺の地価もだいぶ下落しましたし、近隣の同じような店舗の賃料が20万円程度であるのに比べて、だいぶ高すぎると思います。

そこで、私は、大家さんに近隣の賃料と同程度にして欲しいと頼みましたが、大家さんから「契約書で決めたことだから減額交渉には一切応じられない」と言われてしまいました。

契約書で決めた以上家賃の減額交渉は認められないのでしょうか。

また、大家さんが賃料の減額に応じない場合、私は現在の賃料を払い続けなければ賃貸借契約を解除されてしまうのでしょうか。

(回答)

 借地借家法32条1項では、土地・建物に対して課される税金の増減、土地・建物の価格の増減、当該建物の家賃が近隣の類似家賃に比較して不相当となった場合など、経済事情の変動があった場合には、契約の条件に関わらず、当事者は将来に向かって家賃の増減額の請求をすることができると規定されております。

 したがって、契約書で家賃の金額を決めた場合でも、景気の大きな変動などにより、近隣の家賃相場が低くなっている場合には、借地借家法により家賃の減額が認められる可能性が十分あります。

 借地借家法により、借家人が家賃の減額請求をしても家主が家賃の減額に応じない場合、借家人は、大家に対し、家賃減額に関する調停を申し立てることができます(「調停」=「ちょうてい」と言い、裁判所や不動産の専門家が間に入り、話し合いによる解決を勧める手続きです)

なお、賃料減額の効力は「賃料減額の請求をした時」から生じます。 従って、当事者間で協議があわず裁判で新賃料を決めることになった場合などには、賃料減額の請求をした時期がいつだったかが後々問題となる場合がありますので、賃料減額請求をする場合は、きちんと内容証明郵便等で行うなどして証拠を残しておくべきです。

また、裁判所で新賃料額が決められるまでの間は、賃借人は、自分が相当と思う賃料を払うのではなく、これまでの契約書通りの賃料を支払い、裁判所の決定が出た時に、多く支払ってきた賃料分と将来の賃料と相殺することになります。そうでないと、裁判所が賃料の減額を認めなかった場合に、大家から賃料の支払を怠ったとして契約を解除される恐れがあるからです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

投稿者: 弁護士 秋山亘

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