弁護士 秋山亘のコラム

2016.05.27更新

性格の不一致でも離婚は認められますか

 

<質問>

 妻との離婚を考えています。理由は「性格の不一致」です。妻にも離婚の事は話しましたが、妻は子供がいるからと言って離婚については消極的です。

子供と言っても高校三年生の一人息子がいるだけで来年には大学に進学しますので、大学への進学を期に、妻との離婚調停を申し立ててみようと思っています。

ただ、性格の不一致と言った理由だけで離婚ができるのかが心配です。私のような理由で離婚調停を申し立てる人はいるのでしょうか?

 

<回答>

1 離婚調停の申し立て理由として一番多いのは、以下の司法統計のとおり、男女ともに性格の不一致です。

      夫               妻

1位  性格の不一致 61.3%     1位  性格の不一致 43.1% 

2位  異性関係 19.3%     2位  暴力 29.6% 

3位  家族・親族との不和 17.6%  3位  異性関係 27.3% 

<平成15年 全国家庭裁判所離婚調停申立事由>

2 性格の不一致による離婚で、その原因がどちらにあるともいえないケースでも、離婚をすること自体についてお互いが同意しているケースでは、あとは財産分与、慰謝料、親権に関する争いになりますので、離婚自体は認められることになります。 

 しかし、他方の配偶者が離婚にどうしても同意しない場合には、直ちに離婚は認められません。

離婚についての同意が得られない場合には、裁判所が離婚を認めるかを裁判で判断することになりますが、この場合には、

①性格の不一致の原因としてどちらに有責性があるのか、その有責性の程度、

②夫婦の婚姻関係は修復が可能か否か、婚姻関係の修復のための努力をしてきたか、別居期間はどの程度か、

③未成年の子の有無やその年齢

などの事情を総合考慮した上で、判決で離婚の是非が判断されます。

3 もっとも、このような裁判離婚による解決をする前に、調停委員という専門家が間に立って、まずは当事者間の話し合いによる解決を促してくれるのが調停制度です。

そのため、直ちには裁判離婚が認められるのが難しい事案でも調停離婚が成立するケースは決してめずらしくありません。

 ただし、決定的な離婚理由がなく、相手方も離婚に応じていないケースでは、通常の慰謝料、財産分与に加えて、離婚自体に同意する代わりに、一定額の解決金の上乗せがなされるケースもまた多いと言えます。

投稿者: 弁護士 秋山亘

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