弁護士 秋山亘のコラム

2016.04.12更新

物損事故の損害賠償はどのように計算するのでしょうか。

(質問)

A車とB車が交差点で衝突事故を起こしました。幸いにも人身事故にはならず物損事故として処理することになったのですが、A車の修理代は60万円、B車の修理代は80万円かかりました。なお、両車の過失割合は、B車の方が危険な運転をしたということで、A車40%、B車60%となりそうです。

この場合、どのようにして、それぞれの負担する賠償金を算定したらよいのでしょうか。

(回答)

物損事故においても、双方の事故車の過失割合によって、修理代の負担金が決まってきます。 過失割合は、それぞれの事故態様により類型化されており、「日弁連交通事故相談センター編・損害賠償額算定基準」の過失相殺表が基準になりますので、一度、専門家に当該事故の過失割合を相談することをお勧めします。

本件の過失割合は、A車40%、B車60%とのことですので、これをもとに、①A車の修理代としてAがBに請求できる金額、②B車の修理代としてBがAに請求できる金額を算定すると、下記の通りとなります。

      記

①Bが負担すべきA車の修理代

 36万円=60万円×60%

②Aが負担すべきB車の修理代

 32万円=80万円×40%

 従って、本件では、前記の過失割合を前提とすると、①AがBに対し36万円の修理代を請求し、②BがAに対し32万円の修理代を請求することになります。もっとも、実務上は上記のようなたすきがけの遣り取りでは煩瑣ですので、両者がそれぞれの請求額を相殺しその差額である金4万円をBがAに支払うという相殺合意によって処理しております。

 なお、物損事故の場合、修理代のほかにも、レッカー移動代、代車代、評価損(主に高級車などにおいて修理によって各落ちしたことによる損害)、営業者の休車損(会社が持っている他の営業車等で代替不能な場合に修理期間中に事故車を使用することができなかったことによる営業損害)などの項目があります。これらの項目も損害として認められれば、A又はBが負担すべき損害額として加算した上、前記の過失相殺によって処理をすることになります。

投稿者: 弁護士 秋山亘

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